坊主頭が似合う男性について語ります。
○娑婆世界のテレビのニュース (朝)
テレビで女性キャスターがニュースを伝えている。
キャスター「新型兵器の被害はさらにオーストラリア東海岸、中国の新疆ウイグル自治区およびチベット自治区などに広がっています。そして、このままですと今日日本国内でも新型兵器による被害が発生するおそれがあります。政府は全国民に対して不要不急の外出は避けるように呼びかけています。次のニュースです。昨日福岡県西方沖で起こった地震により、玄界灘に新しい島ができていることがわかりました」
画面がヘリコプターからのレポートの映像に切り替わる。
男性レポーター「きのう突如玄界灘に現れた島は福岡市の北西沖30キロのところにあり、大きさは周囲約2キロです。島には濃い霧がかかっていて、中の様子はまったくわかりません」
画面がスタジオに戻る。
キャスター「この島については詳しいことがわかり次第お伝えします」
○不可説界、都の近くの清涼山にある寺院
慧達は藍色の寺院の中に入る。サンポーは青い鳥の姿に戻っている。寺院の奥には紫の袈裟をつけた僧侶がいる。
サンポー「菩薩様、慧と定児を連れて参りました」
菩薩「ご苦労であった」
慧「菩薩様って、この人は蓮華寺の御住職じゃないか」
定児「慧もこの人を知っているのか。俺はこの人に刀をもらったんだ」
サンポー「慧に定児、この方は文殊菩薩様ですよ」
慧と定児は驚く。
文殊菩薩「二人ともここまでよくがんばった。汝らを不可説界に来させたかいがあった。最後の試練を乗り越えれば元の世界に戻れるぞ」
慧「最後の試練とは?」
文殊菩薩「それについて語る前に汝らに見せるものがある」
文殊菩薩が大きな鏡に地球の現状を映す。
慧「これはオーストラリアのシドニーですね」
文殊菩薩「そうだ。何かおかしいと思わないか」
慧「大都市の昼間にしては随分と静かですね。車が1台も走っていないし、人通りもまったくありません」
文殊菩薩「大魔王波旬の魔力でシドニーの人間はすべて眠らされているのだ」
慧「(驚いた様子で)それは本当ですか」
文殊菩薩「本当だ。そして、今や地球のおよそ8割の地域がシドニーと同じ状況に置かれている」
慧「大魔王はなぜそんなことをするのですか」
文殊菩薩「大魔王は人間を快楽におぼれさせ、人間が快楽から得た快感を自分のものとして楽しむ。すべての人間が現実を忘れ夢の中で限りなく楽しんでいれば、膨大なエネルギーを自分のものにできるのだ」
定児「地球を救うことはできないのですか」
文殊菩薩「方法はある。汝らが大魔王と対決して、彼に勝つことだ」
慧「僕達はただの人間です。大魔王と戦える力はありません」
文殊菩薩「汝らはここまでの旅で必要な力を既に身につけている。汝らの力を恐れているからこそ、大魔王は手下を使って汝らをこの不可説界にとどめ置こうと試みたのだ」
定児「そうでしたか。だったら、菩薩様のお力ですぐにでも地球に戻してください。慧、これでうちに帰れるな」と言って、慧の顔を見る。
慧は不可説界に来る前に見た夢のことが気になって、ためらっているような表情をする。
定児「少し二人だけで話をさせてもらってもいいですか」
文殊菩薩は黙ってうなづく。定児は慧を連れて行く。
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