坊主頭が似合う男性について語ります。
○衛元の屋敷 (朝)
慧・定児・サンポーは屋敷に自分達以外には誰もいないことに気付く。しかも、すべての戸と窓に鍵が掛かっていて外に出られない。
衛元の声「見事にひかかりましたね。みなさんはこの屋敷から生きては出られませんよ」
慧達は各部屋を見て回る。
○第一の部屋
定児が戸を開ける。部屋の中は紅蓮の炎。定児はあわてて戸を閉める。
○第二の部屋
定児が戸を開ける。部屋の中には滝がある。定児はすぐに戸を閉める。
○第三の部屋
定児が戸を開ける。部屋の中から強い風が吹いてくる。定児はすぐに戸を閉める。
○第四の部屋
定児が戸を開ける。部屋の中にたくさんの本のあるのが見える。慧達は部屋の中に入る。すると、男の声がする。
ボルヘスの声「(スペイン語で)バベルの図書館へようこそ」
慧達が奥に進むと、本から次々と声が聞こえてくる。
ヘラクレイトスの声「(ギリシャ語で)万物は流転する」
ブッダの声「(サンスクリット語で)色即是空、空即是色」
荘子の声「(中国語で)周の夢に胡蝶となるか、胡蝶の夢に周となるか」
江戸川乱歩の声「うつし世は夢、夜の夢こそまこと」
慧は興味深そうな表情をして、さらに進もうとするが、
定児「なんか頭が痛くなってきた。ここを出よう」と言って、慧を部屋の外に連れ出す。サンポーも外に出る。
○廊下
慧達は廊下にいる。
定児「どうすればこの屋敷から出られるんだ」
サンポー「慧、青蓮華の指輪の力を使いなさい」
慧は目をつぶり合掌して屋敷から脱出することを考える。しばらくして、目を開けて言う。
慧「炎の部屋に行きましょう。そこで僕が呪文を唱えますから、定児さんが刀で道を切り開いてください」
定児「炎の中に飛び込めというんだな」
慧「僕を信じてください」
定児「いつも信じているよ」と言って、にっこり笑う。
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