坊主頭が似合う男性について語ります。
『熱血硬派くにおくん』第8話に阿部亮平が暴走族の武赦紋漸のリーダー前沢という役で出演している。阿部君はこの作品で前沢の微妙な感情の動きをうまく演じているのだが、初見ではわかりにくいかもしれないので、筆者なりの解説を試みる。
前沢は武赦紋漸の名を挙げたいと考えていて、たまたまメンバーの数名をやっつけたという鉄板鞄を持つ男を狙う。ところが、その男りき(演:滝口幸広)はその鞄を後輩に譲り渡しており、それから鞄の持ち主は次々と変わり、中学生ののりお(演:石田飛雄馬)のものになる。そして、のりおが武赦紋漸に襲われることになり、りきがのりおを助けようとするが、りきは喫茶店の女店主ゆりな(演:高久ちぐさ)と出会ってけんかはしないと決意したので戦うことができない。そこへ、ゆりなが登場し、ほどなく前沢も登場。前沢の口から、ゆりなは元武赦紋漸のメンバーであったことが明かされる。
喫茶店でゆりなから過去のいきさつを聞いたりきはゆりなと店を守るため単独で武赦紋漸の本拠地に向かう。そこでりきは拳を使わずに事態を収拾しようとするがピンチに陥り、そこへのりおが登場して、ようやくりきはゆりなのことを口にして拳を使って戦うことになる。と、ここまで前沢はかなり危なくて悪い男という感じの言動なのだが、どこか醒めたような印象もある。ただ、りきが「ゆりなさん、拳を出す理由、今がその時です」と言った時、前沢は何かを思い出したように表情が変わる。
りきとのりおが武赦紋漸のメンバーを一掃した後、りきと前沢が対峙していると、しんじ(演:黒石高大)とゆりなが現れる。このシーンでゆりなが自分の夫(武赦紋漸の先代のリーダー)について語ったところで、前沢がそれまでとは違い感情を露わにした後、りきに言葉をかけ、穏やかな表情になるとゆりなを一瞥した後、微笑とも苦笑ともいえる表情で先代のリーダーの「痛みは痛みしかうまねえ、拳出すには理由が必要だ」という言葉を口にして去っていく。
この一連の前沢の言動を筆者なりに解釈すると、前沢は先代のリーダーの死後チームを率いるようになったが、先代の時とはチームのあり方が違っており、このことに前沢本人も疑問を抱いていたのであろう。だから、乱暴な言動の中にどこか醒めたところがあり、前沢は矢野(演:六川裕史)の玉をつぶすなどチームのメンバーに暴力をふるったが、それ以外の人間にはふるっていない。
このような心理状態である時に、ゆりなから先代のリーダーの真意を聞かされ、自分が誤解していたことを知り、先述のような言動になったと思われる。前沢は口では先代のリーダーに裏切られたといった感じのことを言ったが、実のところ先代のリーダーのことがかなり好きだったのだろう。
なお、エンディングにも阿部君はワンカット映っていて、このカットでは笑っている。
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