坊主頭が似合う男性について語ります。
○玄界灘の島 (昼)
島が闇に覆われる。そして、漆黒の暗闇が博多湾に向って広がっていき、福岡市街に達する。福岡タワーとヤフードームの上空も闇に覆われる。慧はふと文殊菩薩からもらった巻物のことを思い出す。巻物を急いで開く。巻物にはただ「願」という一文字が書かれているだけだ。慧は蓮華寺での修行を思い出し、深くうなづくと、定児の復活を強く願う。すると、青蓮華の指輪が光り始め、光はだんだん大きくなり慧と定児の身体全体を覆う。そして、定児が息を吹き返して、目を開ける。
慧「(うれしそうに)定児さん」
定児「(微笑して)短い昼寝だったな」
光はさらに強く大きくなり、大魔王波旬のほうに向う。光を浴びた波旬は歓喜の表情を浮かべる。
波旬「おお、これこそ余の最も好むもの。甘露(かんろ)の味わいにして、醍醐(だいご)のうまみ」
波旬は光の中に吸い込まれるように姿を消す。島と福岡市を覆っていた闇も消える。
○テレビのニュース
テレビで女性キャスターがニュースを伝えている。
キャスター「うれしいニュースが次々と届いています。アジア、アフリカ、ヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアの各地との通信が回復しました」
○玄界灘の島 (昼)
慧と定児が無人島に二人だけ立っている。
定児「俺達は勝ったのか」
慧「勝ったんです」
慧と定児は喜んで抱き合う。空には下から赤・橙・黄・緑・青・紫という六色が重なった彩雲が出る。そして、空からサンポーの歌声が聞こえてくる。
サンポーの声「愛する人と闇を裂き、まことの愛で悪に勝つ。
知恵の光が世を照らし、人の未来を輝かす。
触れ合うことの喜びに、固い絆が結ばれる」
島の上空に報道用のヘリコプターが接近してくる。
(終)
思うところがあって、南隠(なんいん)から立徳(りっとく)に改名しました。立徳は『春秋左氏伝』の「大上は徳を立つる有り」という言葉に由来しています。
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